「ゴルフをみんなのスポーツへ」2016年ゴルフ新年会開催
ゴルフ関連17団体で構成される「日本ゴルフサミット会議」は1月20日、ANAインターコンチネンタルホテル東京で「2016年ゴルフ新年会」を開催。17団体の関係者約800名が一堂に会し、ゴルフ市場活性化に向けて飛躍を誓い合った。
今年度の活動のテーマは、「ゴルフの活性化をはかる」、「ゴルフ場利用税廃止運動の継続」、「国家公務員倫理規程における『ゴルフ』の削除」、「暴力団等反社会勢力の排除」で、例年以上に各所で熱い意見交換が行われた。
2016年ゴルフ新年会 新春特別企画トークセッション
「2016年リオデジャネイロ五輪に向けて」
日本プロゴルフ協会 倉本昌弘会長
日本女子プロゴルフ協会 小林浩美会長
日本ゴルフツアー機構 鈴木規夫理事
モデレーター 日本ゴルフ協会 山中博史専務理事
ゴルフ関連17団体が主催した「2016年ゴルフ新年会」では、賀詞交換会に先立ち、「2016年リオデジャネイロ五輪に向けて」というテーマで新春特別企画のトークセッションが行われた。
ゴルフ競技は、過去に五輪の正式種目として1900年と1904年の2回開催されて以来、112年ぶりに復活することは承知の通りで、世界のゴルフ界にとっては正に朗報といえるだろう。
今回は、新春特別企画トークセッションの前に、モデレーターの山中博史専務理事(日本ゴルフ協会)より、日程や出場資格、競技方法についての説明が行われた。まずは、その内容を抜粋してお届けする。
【大会日程】
・男子ゴルフ競技:8月11日〜14日の4日間
・女子ゴルフ競技:8月17日〜20日の4日間
【競技方法】
個人戦72ホールストロークプレーで金、銀、銅を決定。
【出場選手の選出方法と選手総出場枠】
7月11日時点の男女別ゴルフ世界ランキング(以下「ランキング」)で出場選手が選出され、出場選手枠は男女とも各60名までとする。
@ランキング上位15位迄の選手は、1ヶ国に付き4名まで出場できる。
A16位以下は、1ヶ国に付き2名まで出場できる。
(例 :15位以内に1名のみの国は、16位以下の1名と合わせ2名となる)
B大会ホスト国であるブラジルは、最低でも1名の出場枠は保証される。
C各々5大陸(アフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニア)から、最低でも1名の出場枠は保証される。
【日本代表選手の出場枠】
現時点では、上記A枠で男子2名、女子2名の合計4名が出場できる。
【ゴルフ開催会場となるオリンピックゴルフコース】
開催コースは、レセルバ・マラペンディGCとなる。
今回のトークセッションには、オリンピックゴルフ競技対策本部強化委員会の委員長を務める日本プロゴルフ協会の倉本昌弘会長、同副委員長の日本女子プロゴルフ協会の小林浩美会長、同委員の日本ゴルフツアー機構の鈴木規夫理事の3名が参加。モデレーターは、日本ゴルフ協会の山中博史専務理事が務め、競技対策本部としてのサポート体制や現地視察の最新情報が伝えられた。それでは以下より、同トークセッションを抜粋してお届けする。
―プロの選手が選ばれる可能性が高いということで、強化委員会では、ベストパフォーマンスを出してもらうためのサポートという観点からヘッドコーチを検討し、丸山茂樹プロが適任であるということになりました。そのあたりの背景や理由について説明をお願いします。
倉本氏 丸山プロは、世界でプレーをしてきて、様々な試合に対する対応力が豊富です。実際にチーム戦でもワールドカップで優勝した経験がありますし、海外での人脈や情報収集力を持ち合わせている。そういった理由があり、丸山プロにお願いをしたわけです。
―強化委員会では、女子のヘッドコーチの選任について話し合いを行いましたが、結果的には、丸山プロにお願いをすることになりました。
小林氏 女子でも国際経験が豊富な選手がたくさんいるので、協会としても悩みました。ただ、個人でもアメリカツアーで3勝を挙げた実績があり、国際経験が豊富な丸山プロであれば、技術面や精神面でサポートをしていただけるという思いから、丸山プロにお願いをしたわけです。また、男子が先に試合を行うこともあり、コースの情報がダイレクトに入ってくる部分も非常に大きいですね。
―リオの成功に向けてのサポート体制は大事な要素ですね。ところで、ゴルフには4大メジャーがあって、そちらが大事でオリンピックは二の次だという話もありますが、国を背負って立つ国際大会の重みについて教えてください。
鈴木氏 選手には、国を代表して戦う凄さを理解してもらいたいですね。わたしは、ワールドカップにも2回出場しましたが、国を背負ってプレーをすることは緊張感も全然違います。日本代表に選出された方には、日の丸を背負って戦う重みを感じながら、いいパフォーマンスをしてもらいたい。選ばれた選手が気持ちよくプレーをしてもらうために、丸山プロと共に、強化委員会では、万全なサポート体制を敷いていきます。
―丸山プロが、「優勝して表彰台に立って、メダルをかけてもらい、日の丸を掲げて、国歌が流れるということは、何ものにも代えがたい幸せな瞬間だ」と言っていました。メダルを獲得できたら、ゴルフ界に与える影響は大きいでしょうね。
倉本氏 かなり大きいでしょうね。現状、ゴルフをする人口の割合は日本全体のたった7%しかいません。ゴルフ人口を増やしていくには、ゴルフをしてない残りの93%の方に、ゴルフの魅力を伝えることが重要になってきます。そういった意味でもオリンピック中継は、ゴルフ業界にとってはチャンスだと思います。リオ五輪で土台を作り、東京五輪に向けてゴルフ界全体が盛り上がっていく流れを作っていくことが今後大事になっていくでしょう。
―ゴルフ界全体でレベルアップを図っていくことが重要ですね。ところで、リオ五輪を迎えるにあたって、選手の体調管理だとか、アクセス問題や治安問題など、数々の問題点があります。
小林氏 渡航費の問題もあるみたいですね。JOC(日本オリンピック委員会)からは、エコノミークラスの往復航空券しか出ないと聞いています。私たちとしては、選手の体調コントロールや管理がしやすいように、環境を整えることが重要だと思っているので、LPGA(日本女子プロゴルフ協会)のお金でアップグレードするつもりです。
倉本氏 開催日程や選手の選出方法の日程についてマスコミに指摘をされますが、この問題はIGF(国際ゴルフ連盟)が全て決めたことで、我々はそれに従ってリオ対策を立てていかなければいけないのが現状です。東京五輪では、先述した日程面などを含め、改善策を提案するつもりでいます。
―今回の開催コースは、細かなアンジュレーションのあるフェアウェイと砲台グリーンが配置されています。大西洋からダイレクトに吹き付ける強い風のハザードが難易度を高めていくでしょうね。グリーンの芝は「パスパラム」だそうです。
倉本氏 わたしは、沖縄の喜瀬CCや中南米で「パスパラム」を導入したコースを回ったことがあります。特にショットの感覚においては、通常の日本のゴルフ場とは、けっこう違った印象に映るかもしれません。今年の1月には、沖縄の喜瀬CCで強化指定選手を集めて、2日間の合宿を行います。
―リオ五輪では、メダルという目標を持って、選手と一丸となっていく必要があります。最後に、一言ずつ意気込みをお願いします。
倉本氏 とにかくメダルを獲ろうという考えは、強化委員会の全員が一致しております。また、テレビ関係者と話をしましたが、リオデジャネイロと日本との時差(マイナス12
時間)の関係上、日本時間の22時頃にテレビ中継がされるそうです。そういったことも含めて、ゴルフ界にとってはゴルフを広める絶好の機会だと思うので、あらゆる施策に全力で取り組んでいきます。
小林氏 東京五輪に向けて、LPGAは、金メダルを目標に掲げています。ツアー強化を3年前から行っていますが、今後はさらに力を入れていきます。また、若い有望な選手に対して、LPGAから指導者を送り込むなど、ジュニア育成の強化も同時に行っていきます。
鈴木氏 技術面、精神面、肉体面など、世界の頂点を目指せるベストな選手を育てていきたいですね。メダルを獲る選手を出すことが我々の使命です。
資料提供:(一社)日本ゴルフ用品協会JGGAニュースより